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鳥か卵か―キャラクターデザインについて

2013.06.27 Thu
 「鳥が先か卵が先か」という謎々を小学校頃、友だちがヘラヘラしながら問いかけて来たことをいまだに覚えています。鳥という生き物の誕生に巡る永遠の謎というべき質問が、忽ち学年の間流行ったわけです。

 科学に留まらず哲学あるいは神学にまで展開された(?)この永遠の問いは謎々としても小学生の間で絶大な威力を発揮したという遠い記憶が、大学になって一時期友人の間で「マンガを描く時にキャラデザインが先か、ストーリーが先か」という議論を行った時に脳の深層よりからよみがえったのだが、当然どちらも問いそのものに正解がないはずです。

 さて江美留はどんな人物なのか。

 小説原作で登場する江美留は、林海象監督の映画『彌勒』によって具現化されが、映画とマンガが言語としての相違点や共通点を別として、この場合映画版のヴィジュアルの再現のみをこだわることが得策とは言えず、重要なのは江美留の存在そのものをどういうふうに映画で解釈されたことでしょう。

設定絵江美留 (3)

 ラフですが、一先ずイメージ…何を隠そう、1954年公開のドイツ映画作品『エミールと少年探偵団』のポスターを見ながら、描いたものです。

 リアルタッチだが、ポスターで描かれる思い切った美少年をアレンジしながら、イメージを探るための過程であります。私は絵描きとして特徴が少ない顔が美形という説にはまったく持って賛成ですが、成長途中のため顔の特徴がまだ現れない少年こそ美形そのもの、がしかしドイツの少年は東洋人よりも顔のほりか深く、実に味わいのある美形だと、思いながら手を動かしたわたくしでございましたが。

 設定絵江美留 (2)

 数あるラフから選んだ画像ですが、ここでデフォルメを少しずつ効かしていきますと、それらしいものが出来上がって来るものです…

 一時期「迷い」「空洞」または「よわよわしいさ」を意識して描いたものもありました…しかしながら、自分の生き方を探る「少年編」の江美留にはそれよりも、「迷い」は伴うが「純粋さ」「芯の強さ」こそがポイントではないかと、ここで思ったわけです。

設定絵江美留

 「終末」を好み、自分の未来に確信を持つ江美留にとって、周囲の少年たちに影響されるように見えて、実は「影響される」のではなく、それらを「吸収」していたかもしれません…

 さてはこれでマンガ『彌勒』の江美留のイメージが決定されたのか、そして青年の江美留はどんな姿なのか…それは後の楽しみということで。

 おまけに少年たちのラフイメージも―


設定少年たち

総合マンガ誌「キッチュ」

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『彌勒』漫画化宣言

2013.04.16 Tue
 林海象監督と初めてお会いしたのは、京都造形大学学内で行われた映画の上映会でした。

 時々金髪で、時々黒髪、映画監督であることを伺ったものの、日本では初対面かと思ったら、既に二十数年前、台湾で『黄金孔雀城』という題名で公開された『ZIPANG』で、半蔵という戦闘サイボーグのような忍者と黄金の王などの強烈なキャラクター達を通して、私は林海象監督と「会っていた」のであります。

 「海象さん」と親しまれる監督も、実は二十数年前に沖縄よりも南にある私の故郷でもある台湾という島国と深く関係を持ったことで、不思議なご縁を感じる次第です。

 その海象さんの最新作映画『彌勒』との出会いも、小説家を志す主人公江美留の姿を漫画家という苦難の道を選ぶ人達と重ね合うことによって、まんざら「お初」ではないと言えよう。

 『彌勒』とはなにか、それは全てを救済するための、ある意味絶対なる慈悲と言える存在なのか。しかしここでは宗教的と言うよりも、全ての偶然性を必然性に繋ぐべき、意図的ではなりえない状況から生まれる「なるべくしてなった」精神状態なのかもしれない。文学的かつ抽象的過ぎるとも言える稲垣足穂の小説『彌勒』を見事に映画化した海象さん曰く、「原作の中から一番大事で、一番シンプルなものを取り出す」だそうだ。

 
 文学・哲学・科学そして死の少年と出会うことによって、小説家になることを決めた江美留のその過程と心理、如何にわかりやすく、シンプルに描くことを目指して、絵描きとしての自分を燃やし尽くすつもりで、キッチュ出版最初の単行本になる、林海象監督映画『彌勒』の漫画化制作を宣言しちゃいます。

 この一作にまつわる全ての素晴らしい出会いを偶然による必然であるように、希望を持って。


 キーワードは「お前の目指す人間とは、なにか?」


映画『彌勒MIROKU』公式サイト
 
総合マンガ誌「キッチュ」


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