RSS|archives|admin

スポンサーサイト

--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


Category:スポンサー広告 | Comment(-) | Trackback(-) | top↑ |

上京の三日間その二、女装ブームと絵本と

2010.06.02 Wed
 現役の編集者佐川俊彦氏と、いまやご隠居と呼ぶべき山本順也編集長と会いました。

 私は大学時代、山本編集長(いまでも、そう呼ばせていただいてます)には、大変世話になりました。二十歳そこそこだった自分は、創作においては勢いはあったものの、荒削りところか、未熟なうえ、中身あやふやな自己主張がたいへん周りを困らせていたものです。

 それでも、毎回山本編集長に、作品を見ていただくのに覚悟を決めねばならなかった。二時間弱の編集長の酷評から立ち直るのに、いつもは一カ月をかかったからであります。時にセリフに出てくる専用名詞をわざわざその場で万辞苑を調べて「これの意味、わかる!?」と見せた編集長の熱気には、いつも圧倒されていました。

 さて、その場で、佐川氏より、興味深いお話を伺いました。どうやら、いま、女装がブームらしい。それも服装のみならず、男性が女性声優の声を完璧に真似して、カラオケでアニメソングを歌うと言うのであります。そしてその関連雑誌の一つ(後で調べてみれば、メイクの仕方から、男性と女性の体つきの説明に、女装の着こなし方などを説明する雑誌などがありました)がなんと五万部が完売されたのち一万部増刷しているらしい。

 売り部数は素直であります。それだけ、多くの人間に読まれているということになります。

 さらに調べると、「オトコの娘(コ)」という造語とともに、秋葉原で女装バーまで、オープンしているのでは、ありませんか。ニューハーフとは、おそらく異なる世界だと思いますが、フィクションの延伸という点から、これまでのコスプレなどの現状を見ていると、意外と、意外ではないかもしれません。

 また女装は実は歴史が古く、数十年前ところか、明治時代まで遡ることができると、先達から伺いました。ようするに、「美意識」が一つの動機だということになるでしょう。心構えが性別な変換まで到達するのかは、判断しかねるが、ある種「美しいもの」の価値観から、始まったということのが、一つの起因だと考えています。

 だが前述のように、心構えの変化は自分には予測不能で、様々なシチュエーションが考えられます。

 それにしても、たまげたのでありました。

 絵本の話になりますが、数か月前に山本編集長とお会いました時から「いまこそ絵本ではないか」と、おっしゃられていた。そして今回もそうであります。

 いまはもっとも表現豊かなマンガ雑誌群は、おそらく青年誌だと思います。(少年から青年のジャンル分けは、それほど明確とは言えない現状にしろ)そして青年誌の読者予備軍は言うまでもなく、子供達であります。ともあれ、山本編集長が、少女マンガ誌を手掛ける前には、絵本の仕事をされていたので、その勘には納得する部分はあります。と言っても、私もそのご意見には賛成しています。

 女装ブームではありませんが、いま大衆はなにを求めているのかを予見できる自信はないけれど、あくまでもそれは「物語」として機能するものだと断言します。そして表現を消費するイントロとして、絵本の可能性は十分あり得るのであります。

 いままさしく、台湾では空前の絵本ブームにあります。

 それが98年デビューした、おそらくいまアジアで最も有名な絵本作家の一人になる幾米(ジミー)氏の一連の作品によって、幕が開けられたのであります。彼は2003年に、StudioVoice誌にアジアもっとも創意があふれる十五人中の一人に選ばれ、その作品はテレビドラマ化や映画化され、さらに絵本を元にしたアニメ『微笑的魚(和訳:ほほえむ魚)』が2006年ベルリン国際映画祭で受賞している。

 だいぶ遅かったが、私が彼の存在を知ったのは、去年夏に帰郷した際、どこの本屋でもジミー一色になっているのに、驚いた時だった。その場で購入した彼のインタビューを集めた本だが、そこには(またしても)驚くことに、私がひと時著書を愛読していた心理学者の河合準雄氏との対談が収録されていました。世間は狭いなぁと、言い聞かせつつ、内容を吟味させていただきました。

 98年『ほほえむ魚』でデビューしたジミーは、はっきり明言しなかったが、大病を患っていたという。それまでに創作欲はなかったが、回復してからは急に、作品を描きだすようになった、四十代のころだった。残念ながら、私はまた彼の作品を目にしたことがないが、その作品の『幸運児(和訳:幸せの翼)』の内容紹介から、衝撃を受けた。幸せの翼を神様から授かった幸運な男が、最後に辿りついた結末は、編集部から修正を求められるワンシーンに描かれている。

 本人のインタビューによると、対象年齢をそれほど意識していなかったそうですが、「大人が読む絵本」というジャンルを、思わぬ形で拡大してしまったかのように思えます。

 本当は、相手は子供であろうか、大人であろうか、一つの疑似体験になり得るほどの、作品の質そのものは問われるのであります。日本昔話や、童話の原本に残酷な物語が多いのも頷ける。ともあれ、読んでみよう、ジミーの絵本。そして考えよう、絵本そのものを。(つづく)



ブログ内関連記事

上京の三日間その一、朝日新聞・手塚治虫文化賞

上京の三日間その三、アシスタントと作画スタッフと

上京の三日間おまけ、パイプのお話(上)

上京の三日間おまけ、パイプのお話(下)


今日からオンナノコ!!『今日からオンナノコ!!(SANWA MOOK) 』鳥山仁(Amazonページ)

ほほえむ魚『ほほえむ魚』ジミー(Amazonページ)

幸せの翼『幸せの翼』ジミー(Amazonページ)



総合マンガ誌「キッチュ」
スポンサーサイト


Category:近況 | Comment(-) | Trackback(0) | top↑ |
Trackback URL
http://kitsch2010.blog106.fc2.com/tb.php/11-7117b028

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。