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「キッチュ」第二号作品紹介:ココロに突き刺さるトゲ

2010.07.11 Sun
トゲ

 数か月前、私は映画館で荻原浩小説原作、榊英雄監督作品『誘拐ラプソディー』を鑑賞していました。

 哀川翔、高橋克典、YOUのほかに個性派俳優の笹野高史、ベンガル、寺島進、菅田俊、木下ほうかなど、さらにドラマの帝王と呼ばれる船越英一郎という、たいへんなメンバーが出演しているが、出演者の事件で公開することすら危うい事態に追い込まれた数奇な運命を定められた映画です。

 監督本人の代役で、ようやく公開されることになったが、ロングランには至らなかった。それでも個人的に、原作の解釈や、画面の切り替え、カメラワークなどに素晴しいセンスを感じます。いま表で謳われる日本映画の「大作」と異なって、膨大な予算ならぬ、表現の水準で映画の質を高める志向を思わせる、隠れた名作と言って差し支えはない作品でしょう。

 この映画と競作の形で出版されたのは、同作でデビューを飾った漫画家・浜口今日子さんの単行本『誘拐ラプソディー』であります。

 原作に忠実しつつも、自分なりの解釈で物語をアレンジし、特に映画に登場しなかった中国系マフィアの描写が印象的で、所々ユーモアを溢れるシーンを見かけつつも、シリアスな部分を大事にしている。まさに「笑いあり涙あり」という言葉に相応しく、映画と同様、素晴しいセンスを感じさせる作品です。 

 そんな彼女の作品を、「キッチュ」に載せていただくことになりました――浜口今日子さん作『トゲ』です。


ダークサイト
 
 初めはささいな「痛み」だが、その増大に伴い、少年の精神は彷徨ってしまう。程度は異なるが、誰もか経験するであろう感情だ。

最初は――

 重ねる痛み…少年はそこから「危機」感じ取りつつも、彷徨い続けるしか、ないのか。そこで少年はある「精神体」と出会うことで、初めて行動を起こす決意をする。

血が止まる


 そしてやがて分水嶺がやって来る…




少年は…

 ここまで来たら、この作品を読まずともその結末を想像するのは容易い…かもしれない。がしかし、それは決して軽々しくとらえられてはいけない。私はこの作品と出会うことによって、それに改めて、重く強く、ココロを打たれることになりました。

 それはいかなるものなのか、是非読者に「キッチュ」第二号で、ご自身の目で確かめていただきたい。それが異色漫画家浜口今日子の『トゲ』である。(呉)

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